ヴィーダ,ガンシュ＆パウル

「偶然が最高の物語を作り上げる」（トーマス・ガンシュ）

ブラス楽器が、楽譜から、ジャンルから、約束事から解き放たれたらどうなるのか？ムノツィル・ブラスで勇名を馳せたトーマス・ガンシュ（Tp.）、レオンハルト・パウル（Tb.）、アルベルト・ヴィーダー(Tu.)なら、その答えを知っているかもしれない。

このトリオ結成のきっかけは、2015年ヴィーダーのムノツィル・ブラス「Yes, Yes, Yes!」での代奏だった。ツアーでは毎日、公演の最後にアンコールを演奏した。彼らの好きなように、即興で、ほとんど打ち合わせなしでステージに戻り、最高の”コミュニケーション”をした。

やがて、彼ら３人が持つ世界を融合させ、ありとあらゆる趣味の音楽を詰め込んだ、夢のようなトリオ・プログラムが出来上がった。それは例えば、フランツ・シューベルト、ヨハン・シュトラウス、ヘンリー・マンシーニ、チャック・マンジョーネ、トゥーツ・シールマンス、ジョージ・マイケル、ウド・ユルゲンス、ビリー・ジョエルなどなど。

彼らには、ベース、メロディー、ハーモニー、それだけで十分だ。名前だって、「ヴィーダー、ガンシュ＆パウル」で十分だ！

そこには、ジャズでもない、ブラスでもない、クラシックでも、プログレでもない。でも、自由と対話と、無限の音楽がある！

2020年アマデウス・アワードのジャズ／ワールド／ブルース部門にノミネート

トーマス・ガンシュ - トランペット、フリューゲルホルン、ヴォーカル

レオンハルト・パウル - トロンボーン、バストランペット、ヴォーカル

アルベルト・ヴィーダー - チューバ

トーマス・ガンシュ Thomas Gansch

1975年ザンクト・ペルテンで生まれ、父ヨハン・ガンシュからトランペットを学んだ。15歳でウィーンに渡り、音楽・舞台芸術大学でトランペットを学ぶ。在学中の1992年、学生仲間とともに若干19歳でムノツィル・ブラスを結成。クラシックを6年間学んだ後、1997年に卒業を決意し、大好きなジャズに転向した。1998年から2006年まで、彼は伝説的なウィーン・アート・オーケストラで演奏し、今でもそれを「本当の」学生時代だと語っている。世界中のミュージシャンとの数え切れないほどのコラボレーションや、50カ国近くでの演奏活動に加え、ムノツィル・ブラスの他にも様々なアンサンブルのために作曲を行っている。

トーマス・ガンシュは、同世代で最も多才なトランペット奏者のひとりであるだけでなく、常に冗談を口にしながらも音楽を見失うことのない、根っからのエンターテイナーでもある。

レオンハルト・パウル Leonhard Paul

ウィーン生まれ。1986年から音楽・舞台芸術大学でトロンボーンの器楽教育学を学び、優秀な成績で教授資格試験に合格。1989年から1993年まで同大学でトロンボーンを学び、1993年10月に優秀な成績で卒業。1990年から1994年までウィーン音楽院でジャズ・トロンボーンをエーリッヒ・クラインシュスターに師事。ここでも1994年7月にディプロマ試験に優秀な成績で合格した。

ムノツィル・ブラスの共同創設者でもあり、作曲・編曲を手がけ、トロンボーン、バス・トランペットなどを演奏している。

1992年と1993年から2005年まで、ミュルツシュラークとトゥルンの音楽学校で教鞭をとり、2005年からはウィーン国立音楽大学で金管室内楽とバロック・トロンボーン、ポピュラー音楽を中心としたトロンボーンの教鞭をとっている。2019年、ヨーゼフ・ハイドン室内楽・新音楽研究所の所長に就任。

ムノツィル・ブラスでは演奏はさることながら、影のある役柄で人気を博している。

アルベルト・ヴィーダー Albert Wieder

トロンボーン奏者であった父からチューバを習う。
14歳でグラーツ音楽大学オーバーシュッツェン分校のヨーゼフ・マイヤーホーファーのクラスに入学し、1999年まで同校の準学生として学ぶ。
この頃すでに、ユーディ・メニューインのもとでのソロ・コンサート、グラーツ大学オーケストラ・オーベルシュッツェンとの共演を行う。
2007年まで同校で器楽・声楽教育学とコンサート科目としてのチューバを学ぶ。2000年、19歳でウィーン国立歌劇場管弦楽団のテューバ奏者、2006年よりウィーン・トロンボーン・アンサンブルのメンバーとなる。

2015年から2017年まで、一時的にムノツィル・ブラスで活躍し、アルバム『Yes! Yes! Yes!』がきっかけでトリオが結成される。

2012年、ヨーゼフ・ハイドン音楽院のチューバ科教授に就任。