タマーシュ・ヴァルガ

©︎Olga Kretsch
〜ウィーン・フィルの伝統を受け継ぐ男〜
1998年ウィーン国立歌劇場管弦楽団に入団し、2001年ウィーン・フィルハーモニー協会入会。
20年に渡り、ウィーン・フィルと共に生き、ウィーン伝統の音楽を継承するチェリスト タマーシュ・ヴァルガ。
音楽への真摯な姿勢、作品を深く読み解いた解釈によって、古典から現代曲まで幅広いレパートリーを演奏し、世界中で活躍している。

 

 

©︎Olga Kretsch

Tamás Varga

 

1969年ブダペストに生まれたタマーシュ・ヴァルガは、20年以上にわたってウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の首席チェロ奏者を務めており、この楽団でのソロ演奏はヴァルガの輝かしい演奏キャリアのハイライトのひとつと言える。その中でも傑出しているのが、クリストフ・エッシェンバッハ(2005/2006)指揮によるシューマンのチェロ協奏曲、ズービン・メータ(2009)指揮によるリヒャルト・シュトラウスの「ドン・キホーテ」、アンドリス・ネルソンス(2017)指揮によるドヴォルジャークのチェロ協奏曲ロ短調の演奏で、いずれも絶賛を浴びている。
2018/2019年度は、コンサートマスターのアルベナ・ダナイローヴァ、また、世界に名を馳せるピアニスト、ルドルフ・ブッフビンダーとともに再びアンドリス・ネルソンスの指揮の下、ベートーヴェンの三重協奏曲を演奏。世界の各大陸でソロ奏者として演奏しており、アダム・フィッシャー、小澤征爾、ジュゼッペ・シノーポリ、ピンカス・スタインバーグ、マイケル・ティルソン・トーマスなどの著名な指揮者と共演している。ヴァルガはティルソン・トーマスと同様、自らの根本的な責務のひとつは、知識と経験を若い世代の音楽家たちに受け渡すことであるとの確信を抱いている。
世界中各地でマスタークラスを開催しており、近年はオーストラリア、中国、ベトナム、日本そしてアメリカ(ニューヨーク、バークリー、マイアミ、シカゴ)を訪れている。最先端のテクノロジーを駆使し、また、インターネット経由でも教鞭をとっている。シドニーでYouTube交響楽団のチェロ部門を指導したことも、ヴァルガにとって新しい挑戦と言えよう。グスターボ・ドゥダメルの招待を受けてのチリとベネズエラの国立青年オーケストラによる2018年の記念コンサートへの参加のようなプロジェクトもまた、音楽の持つ、人を結びつけ、力強くし、それぞれを補い合う力を見出すために若い音楽家たちと協力することの重要性を、ヴァルガに改めて確信させた。
室内楽にも傾注しており、ウィーン芸術週間、ブダペスト春の音楽祭、また、ラインガウ音楽祭などの名高い音楽祭でも定期的に演奏している。2018年のザルツブルク音楽祭では、ヴァルガを始めとするウィーン・フィルの同胞たちが、ザルツブルクのモーツァルテウムで祝祭の室内コンサートを催した。室内楽の共演者には、フェレンツ・ボーグナー、フレデリック・シャスラン、クリストファー・ヒンタフーバー、カール・ライスター、ボビー・マクファーリン、ダニエル・オッテンザマー、カール=ハインツ・シュッツ、タマーシュ・ヴァーシャーリ、さらに、バルトーク弦楽四重奏団やフランツ・リスト室内管弦楽団などが含まれる。
過去25年の間に、カメラータ・トウキョウ、ナクソス、フンガロトン、キングレコード、カヴァッリ・レコードに30枚以上のCDを録音してきた。
一覧に戻る