9日間で14枚だった公演が、ほぼ完売に。神戸国際会館×Voctave 集客支援の4か月

「9日間で、14枚」——。

正直に言えば、この数字を最初に聞いたときは、私たちも身が引き締まりました。2026年7月に神戸国際会館 こくさいホールで開催された自主公演「Voctave 2026」神戸公演。販売開始から9日が経った時点でのチケット販売枚数です。1日あたり約1.5枚。ホールのご担当者が「売れなかったらどうしよう」と危機感を抱くのも、当然の立ち上がりでした。

そこからこの公演は、最終的に1,159枚・売上1,010万円を記録し、会場はほぼ満席になります。今日は、その4か月間に何が起きていたのかを、ホールご担当者の言葉とともに振り返ってみたいと思います。

満席の神戸国際会館こくさいホールを背にしたVoctaveメンバー
終演後、満席の客席を背に。Voctave 2026 神戸公演(神戸国際会館 こくさいホール)

日本初の全国ツアー、という挑戦

神戸国際会館さんの自主公演は、演歌・お笑い・年末の第九などの演目が中心で、クラシック系海外アーティストのような「知名度が比較的低く、売れ行きの見通しが立ちにくい」演目の招聘実績はほとんどありませんでした。集客手法も、新聞広告や取引先企業へのチケット斡旋が主力。長年培われてきた、確かな手法です。

ただ、今回のVoctaveは少し勝手が違いました。アメリカでは絶大な評価を得ているヴォーカルグループですが、日本での知名度はまだこれから。しかも今回が日本初の全国ツアーです。ホール事業課の川村卓巳様は、当時をこう振り返ります。

「海外アーティストの招聘は、自分のところでのアプローチの仕方が全く分かっていなかった。それが一番不安でした。先行販売の当たりも良くなくて、危機感を持ちながらご相談させていただいたんです」

株式会社神戸国際会館 ホール事業課 川村卓巳 様

ご相談をいただいたのは、一般販売が始まった後のことでした。

「少しずつ予算を入れる形で、やらせてください」

私たちがご提案したのは、SNSを中心としたデジタルマーケティング施策と、電子チケットteketによる販売です。ただ、川村様には当然の慎重さがありました。従来のチケット会社とは手数料率の考え方が異なること。そして何より、広告費という固定費を投じることへの不安です。

「広告費を何十万か積むつもりはしていたんですけど、そのほとんどを使ってしまうような形をまず提示されたので……売れなかった時にどう対処したらいいのか、というのが正直なところでした。だから『少しずつ予算を入れる形でやらせてください』とお願いしたんです」

この「小さく始める」という判断は、結果的にとても良い形になったと思っています。私たちも、いきなり大きな予算をお預かりするより、成果を見ていただきながら一緒に進めるほうが健全だと考えていました。

そして2026年3月18日、施策がスタートします。2026年に代表取締役へ就任した川﨑俊介が、10年にわたりIT業界で培ってきた知見とAIのフル活用を駆使した独自の運用設計で、演奏動画を軸にしたクリエイティブを届くべき層へ精緻に配信していきました。

販売カーブが、一変した

ここからの動きは、私たち自身の想定を少し超えるものでした。

期間 累計販売枚数 備考
3月9日〜17日(販売開始から9日間) 14枚 1日あたり約1.5枚
▶ 3月18日 デジタルマーケティング施策スタート
〜3月24日(開始1週間) 71枚 1週間で+55枚
〜3月31日(開始2週間) 237枚 さらに+166枚
〜7月17日(最終) 1,159枚 売上10,109,000円/ほぼ完売

「いや、びっくりしましたよ。正直な話、こんなに売れるもんなんかって。最初に51枚と言われて、その後140枚、その次も90枚。今までと勝手が違う形で、どんどん売れていきました

「これまでの感覚だと、よく売れたなというところが20枚ぐらい。それが今回は150枚みたいな感覚で」

川村卓巳 様

当初「小さく」始めた広告予算は、好調を受けて6回にわたって追加されました。最終的には、ホール様が集客予算を全面的にこの施策へ振り向けてくださるまでに。信頼していただけたことが、何よりうれしい出来事でした。

Voctave神戸公演の客席
公演当日の客席。終演時にはスタンディングオベーションに

「最後は、客席と一緒にスタンディングオベーション」

そして迎えた公演当日。数字の話をここまでしてきましたが、私たちがこの仕事をしている理由は、やはりこの瞬間にあります。

「観に来てくれた元同僚が『めっちゃ良かった』と言ってくれて。最後は客席と一緒にスタンディングオベーションになっていました。あれを見た時には『ああ、良かったな』と

「公演後のInstagramも4,900人ぐらいに見ていただいて、やってよかったなという実感がすごくあります」

川村卓巳 様

チケットが売れることは、あくまで手段です。その先にある、満席のホールと、鳴りやまない拍手。ホールのご担当者としてその光景を見ていただけたことが、この取り組みのいちばんの成果だったと思っています。

インタビューを終えて — 「神戸という街に、還元したい」

オンラインインタビューの様子(川村卓巳様・村山智美・川﨑俊介)
オンラインインタビューにて。左から川村卓巳様(神戸国際会館)、村山智美、川﨑俊介

2026年8月6日、あらためて川村様にお話をうかがいました。印象的だったのは、最後に語ってくださったこの言葉です。

「今回、本当にお願いしていなかったら残念な結果になっていたんじゃないかと思います。これからもやるのであれば、お勧めしたいです」

「コンサートの後に三宮の街へ寄っていただければ、いろんなところが潤う。自主公演をやっている分、神戸という街にいろいろ還元できたらという気持ちがあります」

川村卓巳 様

ホールの集客は、単に「チケットを売る」話ではないのだと、あらためて教えていただいた気がします。ひとつの公演が満席になることは、その街に人が流れ、街全体が少し元気になることでもある。私たちの仕事の射程は、思っていたより広いのかもしれません。

代表・川﨑から

代表取締役 川﨑俊介
代表取締役 川﨑俊介

「WEBやSNSを起点に、テクノロジーを活かしたマーケティングを行う——これは私自身がIT業界で10年近く培ってきた財産です。そこにAIをフルに活用した運用設計を掛け合わせています。まさかそれが、音楽業界でここまでのインパクトを残せるとは思っていませんでした。業界のことはまだまだ勉強していかなければなりませんが、並行して、これまで業界になかった知見で自分が貢献できる余地があるのなら、全力を尽くしていきたいと思っています」

「ただ、忘れてはいけないのは『結局、良い商品は売れる』ということ。WEB広告を打てば何でも売れるほど甘い世界ではありません。毎回きちんと結果が出るのは、アーティストのクオリティが本物だからです。クオリティの高いアーティストを招聘し続ける限り、たとえ日本での知名度がまだ低くても、素晴らしいものはちゃんと届く。多くのホールを満席にすることだってできる。今回の神戸公演がそのきっかけになれているのなら、これ以上の喜びはありません」

株式会社プロアルテムジケ 代表取締役 川﨑俊介

知名度ではなく、クオリティで人が集まる業界へ

クラシック業界には、実力は本物でありながら、日本での知名度が低いために舞台に呼ばれにくいアーティストが数多く存在します。従来の集客手法では、すでに名前が売れている演目でなければチケットの売れ行きの見通しが立ちづらく、それが業界全体の選択肢を狭めてきた部分もあったのではないかと、勝手ながら考えています。

「良いものが、届くべき人にきちんと届く」。その仕組みをつくることで、埋もれている才能に光を当てていきたい。今回の神戸公演は、それが決して理想論ではないと教えてくれた事例になりました。

ホール・主催者のみなさまへ

本事例のように、広告予算を小さく始めて、成果に応じて拡大する設計が可能です。運用そのものは、代表・川﨑の10年にわたるIT業界での経験とAIのフル活用を前提とした専門性の高いものですが、ホール様側に専門知識は一切不要です。神戸国際会館さんとは今後の新規公演での継続活用についても合意しており、他地域のホール・主催者のみなさまからも同様のご依頼をいただいています。

自主公演の集客にお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

  • 株式会社プロアルテムジケ(担当:川﨑・村山)
  • TEL:03-3943-6677(平日 10:00〜18:00)
  • E-mail:info@proarte.jp

最後になりましたが、貴重なお話を聞かせてくださった神戸国際会館の川村卓巳様、そして素晴らしいステージで応えてくれたVoctaveの皆さんに、心より御礼申し上げます。

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