今回はヨルゲン・ファン・ライエンから少し離れて・・・・
先週の土曜日、会社の片付けをしてると1994年のマガジンが出てきました。
まずは表紙を楽しんで下さい。
『演奏の現在・音楽の現在』
MUSIC TODAY No.21 1994
リブロポート出版
今では考えられない強烈なインパクトの写真です。トロンボーン通ならどの演奏かわかる方もいらっしゃいますか?
詳しい紹介はインタビューに続きます。
インタビュー:トロンボーンで演技するヴィルトゥオーゾ
20年前の雑誌ですね。クリスチャ・リンドバーグが特集された号で、インタビューでは武満徹作曲『ジェモー』(GÉMEAUX)*にも触れられています。
*「オーボエ、トロンボーン、2つのオーケストラ、2人の指揮者」のための作品
クリスチャンはジェモーにこうコメントしています。
録音は独奏オーボエと独奏トロンボーン、そして二群のオーケストラとそれぞれに配される二人の指揮者のための作品で、1986年に書き上げらた物です。40分にも及ぶ長大な曲で、ソロパートには、むちゃくちゃ(原文ママ)厳しいパッセージもいくつかあります。
https://www.youtube.com/watch?v=8QJdxZ-niFU
私もこの作品を聞いてみました。めちゃくちゃ長いですが、物語が非常に明瞭で聴きやすいです。武満徹の音楽は過去にも何度も聞きましたが、ジェモーは(配信系サイトでは)Youtubeでしか見ることができず、存在すら知りませんでした。
武満さんの音楽に対してもクリスチャンは語っています。
武満さんは、私が本当にすごいと思える世界でも数少ない作曲家の一人です。彼の音楽は、極めて美しく、しかもとてもオリジナリティがあります。また、武満さんは楽器の使い方の達人でもあると思います。彼の作曲は、まるで様々な色彩を塗っているような印象を受けます。
インタビュー記事に掲載された写真
インタビュー記事には、クリスチャンのパフォーマンス写真が掲載されていました!迫力のある写真ですね。今では考えられない風貌で演奏しており、左の写真はルチアーノ・ベリオ作『セクエンツァV』演奏時のもので、ピエロの格好でパフォーマンスをしています。
右の写真はサンドストレムのトロンボーン協奏曲:モーターバイク・コンチェルトという曲でバイクのプロテクターを着て演奏しています!
非常に迫力のある演奏でクリスチャンのテクニックが全面に出ています。他にも、指揮者がヘルメット被っていたり、トロンボーンを効果的に使ったソロが多いのが面白いです。
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今でもこのような曲はあるよな〜と思って、最初に浮かんできたのはヤコブTVです。
彼の音楽も、世界の音を取り組み強いメッセージを伝えようとしています。7月に世界初演となる『ALARM』にもメッセージ性があります。トロンボーンと世界中のサイレンを掛け合わし、私たちを取り囲む不安、恐怖、混乱を生々しく表現されるであろう作品です。(ファン・ライエンのコメントによると)
しかし、私はサイレントはある意味安心にも繋がっているものだと思います。誰かが警告してくれている、そして、今ならまだ協力できる、みんなで乗り越えることができる、そんな可能性も示唆してくれるモチーフだと考えています。
『ALARM』は「 ヨルゲン・ファン・ライエン&アルマ弦楽四重奏団 Japan Tour」が世界初演となります。ロイヤル・コンセルトヘボウに居ながら革新を求める彼らがどんなコンサートを作るのか、ぜひ体験してください。