アンドレアス・ヘフリガー, ピアノ Andreas Haefliger, Piano
アンドレアス・ヘフリガーは、スイスの名テノール歌手 エルンスト・ヘフリガーを父にもちドイツで育った。15歳でニューヨークのジュリアード音楽院へ入学、瞬く間に一流のピアニストとして認められ、ニューヨーク・フィルハーモニック、クリーヴランド管弦楽団、ロサンゼルス・フィルハーモニック、ボストン交響楽団、ピッツバーグ交響楽団、シカゴ交響楽団、サンフランシスコ交響楽団などアメリカの主要オーケストラと次々に共演。ヨーロッパでもロイヤル・コンセルトヘボウ、ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団、ブダペスト祝祭管弦楽団、ベルリン・ドイツ交響楽団、パリ管弦楽団、ロンドン交響楽団、ウィーン交響楽団といった名だたるオーケストラと共演を重ねてきた。またルツェルン、エディンバラ、アスペンなどの音楽祭には常連アーティストとして招待され、1988年にニューヨーク・デビューを果たし、今日優れたリサイタル・アーティストの一人として知られ、欧米、アジアなどで高い評価を得ている。
ロンドンのヴィグモアホールでは、モーツァルトからリゲティまでの作品とともに、ベートーヴェンのピアノ作品を全曲演奏するヘフリガー・シリーズ「パースペクティヴ」を定期的に開催し、このリサイタル・シリーズは彼の近年のCDとも関連づけられている。またコペンハーゲン・ルイジアナ美術館に於いて、トップクラスの音楽家を招いてのリハーサルやコンサートを行い、2019年1月にはロッテルダム、シンガポール、マドリッド、香港でツアーを行った。
2019年のBBCプロムスで、彼と同じスイス人作曲家ディーター・アマンに特別に委嘱したピアノ協奏曲「グラン・トッカータ」を、サカリ・オラモ指揮/BBC交響楽団との共演で世界初演。同曲はスザンナ・マルッキ指揮/ボストン交響楽団と北米でも初演され、ウィーン響、ミュンヘン・フィル、台北市立響との共演のほか、ルツェルン音楽祭ではヘルシンキ・フィルと共演した。
2020年3月、コロナウイルスが発生したとき、ヘフリガーはスイス・アルプスの山小屋におり、演奏できなくなったコンサート(エサ=ペッカ・サロネン指揮/フィルハーモニア管弦楽団とのベートーヴェン、上海、広州、北京での協奏曲ツアー、エディンバラ、ルツェルン、シカゴのフェスティバルへの出演など)を悔やみながらも、この強制的な反省期間を利用してベートーヴェンの記念碑的なピアノソナタ第29番《ハンマークラヴィーア》Op.106に取り組み、その演奏とアルプスの環境を撮影したアートムービーを完成させた。この映画は映画館やテレビ局で取り上げられており、2020年のアスペン音楽祭では、予定されていたライブ・リサイタルの代わりにストリーミングで世界初公開された。
ソニークラシカルよりモーツァルト、シューマンといったソロCDの他、デッカよりタカーチ弦楽四重奏団、バリトンのマティアス・ゲルネとのCDをリリース。ゲルネとのシューベルトの録音はドイツ・レコード批評家賞を受賞している。
2018年春、BISレコードより「パースペクティヴ」シリーズの最新盤をリリース。また2020年春には初のコンチェルト・アルバム「アマン、ラヴェル、バルトーク ピアノ協奏曲(スザンナ・マルッキ指揮/ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽団)」をリリース。ディーター・アマンのピアノ協奏曲「グラン・トッカータ」は、この時に世界初録音された。今秋にはベートーヴェンの初期のソナタをリリースする予定。