エイステイン・ボーツヴィック


テューバという楽器の可能性を限りなく広げた、テューバ界のパイオニア!

 


 

エイステイン・ボーツヴィックは、オーケストラのテューバ奏者、指導者としてよりもむしろ、ソリストとして独自の道を切り開く唯一無二のテューバの名手である。ソリスト、室内楽奏者、講義やレコーディングなど彼の多彩な活動は世界中に知れわたり、パイオニアとして、その独特の妙技と音楽性でテューバという楽器の地位を確立した。

 

 1966年ノルウェー生まれ。15歳でテューバを始め、スウェーデン王立音楽院で学んだ後、インディアナ大学音楽学部で高名なハーベイ・フィリップスに、シカゴ交響楽団で40年以上にわたり首席奏者として君臨した伝説的なテューバ奏者、アーノルド・ジェイコブスのもとで研鑽を積んだ。そして1991年、ジュネーヴ国際音楽コンクール・テューバ部門で2つの賞を授与された時から彼の国際的なキャリアが始まった。

 

 これまでにオスロ・フィルハーモニー管弦楽団、ベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団、ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団、国立台湾交響楽団、フィルハーモニー・オーケストラ・シンガポール、メルボルン交響楽団、スイスロマンド管弦楽団、ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団などのメジャー・オーケストラと共演するほか、世界各地の有名ホールで演奏しており、2006年にはカーネギーホールでデビューを飾った。また、ボーツヴィックのマスタークラスやクリニックも絶大な人気を誇り、ジュリアード音楽院、インディアナ大学、クリーヴランド音楽院、ライス大学シェパード音楽学校、ウィスコンシン大学などに招かれている。演奏活動は多岐にわたり、ソロやオーケストラ作品にとどまらずジャズやロックの分野にもおよぶ。ロック・ミュージシャンらとコラボレーションなどは彼の多様な活動のひとつの特徴をなしている。

 

テューバという楽器の多角的な可能性を追い求める中で、アメリカ、ロシア、スウェーデン、ノルウェー、スイスの作曲家に積極的に新作を委嘱。これまでに約40もの独奏曲を初演した。近年では多くのテューバ作品が、より新たな技術を必要としていることから、技術開拓にも心血を注ぐ。1999年、これらの功績が認められ、ノルウェー国家より2年間の奨学金を授与された。

 

レコーディングにも精力的で、BISレーベルをはじめとする多数のCDは各方面から惜しみない賛辞を受けている。直近の2年間における日本の管楽器CD市場において、つねにトップクラスの販売数を誇り、その躍進はとどまるところを知らない。

 

主な彼に対する批評として、英紙デイリーテレグラフは、“レコーディングでの彼の感情豊かな才能は、耳を引きつける風格ある音とともに、これまで受けていた不当な評価からテューバを解放した。ヴァイオリンで成し得ることをテューバでもやってみせた”と述べ、ポーランドの音楽誌ルフ・ムジチニ(音楽の動向)は、レイフ・ヴォーン・ウィリアムズのテューバ協奏曲の演奏に対し“多くのピアニストやヴァイオリニストは、彼のもとでテューバを少なくとも1年間は学ぶべきだ。必ずや理想のフレージングを身につけられるだろう”。さらに、作曲家ジョン・ウィリアムズをして、“私のコンチェルトにおけるボーツヴィックの演奏は、私が意図する望みをはるかに超えたものだった”と言わしめた。

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