ハインリヒ・シュッツ:言葉は肉となり
編曲:サイモン・コックス
セプトゥーラのクリスマスコンサートは、二つの部分からなります。
これまでご紹介した「ヘンゼルとグレーテル」「くるみ割り人形」は、日本でもポピュラーな、明るく楽しい演目たちです。
一方で、クリスマスには「キリスト教の祝祭」という側面もあります。セプトゥーラは、クリスマスの荘厳な一面もコンサートで表現します。
コンサート最初の一曲は、ハインリヒ・シュッツ(Heinrich Schütz; 1585–1672)「言葉は肉となり」(Das Wort ward Fleisch, SWV 385)です。
これは1648年に出版された《宗教的合唱曲》(Geistliche Chor-Music)収録の29曲のモテット*の一つであり、聖ヨハネが降臨節にて受肉の素晴らしさを説いた象徴的なテキストを編曲したものです。
重厚なニ短調の冒頭から祝典的な踊りが始まり、声部のグループが絶えず入れ替わりながら朗々と展開されます。最後は力強いクライマックスへと盛り上がり、ニ長調の勝利の凱旋へと帰結します。
*モテット:ポリフォニーによる短い宗教的合唱曲のこと。
原曲でも「声楽と器楽の両方で演奏する」と書かれているこの曲は、金管アンサンブルにアレンジされ、一層輝きを増して聞こえます。
是非、コンサートホールで荘厳な響きをお楽しみください。